ムスリム学びブログ

インドネシア人と結婚したムスリムの日々の学びの記録

私がヒジャーブを着けるようになるまで

私はムスリムの夫との結婚がきっかけで入信しましたが、入信してからも長いことヒジャーブを着けることが出来ずにいました。その私も最近になってようやくヒジャーブを着けて出掛けることが出来るようになりました。今日は、以前の私のように、入信したもののまだヒジャーブに抵抗があって着けることが出来ないでいる方の参考になればと思い、私がヒジャーブを着けることが出来るようになるまでの過程と今の私がヒジャーブに対して感じていることについて書いてみたいと思います。

 

イスラム教徒の成人女性(初潮を迎えたムスリマ)にとってヒジャーブ(ムスリマが頭に巻く布)着用は義務です。その根拠とされているのがクルアーンの以下のアーヤです。

 

「信者の女たちに言ってやるがいい。かの女らの視線を低くし,貞淑を守れ。外に表われるものの外は,かの女らの美(や飾り)を目立たせてはならない。それからヴェイルをその胸の上に垂れなさい。自分の夫または父の外は,かの女の美(や飾り)を表わしてはならない」(御光章、24:31)

 

また、以下のハディースもあります。

 

預言者ムハンマド様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)はおっしゃいました。

 

「アスマーよ、女性は成人に達したなら、こことここを除き、彼女のどの部分も見られることはふさわしくありません。そして彼は顔と手を示されました」

(アル=バイハキーの伝える伝承)

 

私は入信してからモスクや個人宅などで開かれるイスラム勉強会に通うようになり、ヒジャーブについても学んでいきました。ムスリマがヒジャーブを着けるのは主に以下の理由からです。

アッラーのご命令を守る

・女性達を男性たちの誘惑から逃れさせる

・女性が年齢や美しさで評価されるのではなく、心や能力で正しく評価されるようになる

 

クルアーンに以下のアーヤがあります。

 

預言者よ,あなたの妻,娘たちまた信者の女たちにも,かの女らに長衣を纒うよう告げなさい。それで認められ易く,悩まされなくて済むであろうアッラーは寛容にして慈悲深くあられる」(部族連合章、33:59)

 

シスター達の説明を聞いて、頭では納得出来ましたが、日本でヒジャーブのない生活をずっと送ってきた私にとってヒジャーブを着けることはハードルが高いと感じていました。一方、インドネシア人の夫は本国では自分の家族や親戚がみんな着けており、女性がヒジャーブを着けるのが普通の環境でしたので、着けない私を見てよく非難しました。非難されるとなおさら抵抗感が増してきますし、個人的に目立つのが苦手な性質と自分のファッションとも合わないという感覚も手伝って、長いこと着けることが出来ずにいました。ただ、夏でも薄手の長そでカーディガンを着たり、長ズボンやロングスカートを履いたりと、頭以外は覆うように努めました。シスターに「ヒジャーブを着けることが出来るようにドゥアー(アッラーへの祈願)するといいですよ」と教えてもらい、ドゥアーもしました。

 

その効果もあってか、家族で出掛ける時に少しずつ着けるようになり、それが常態化してくると、周りの視線がそれほど気にならなくなりました。昨年、PTAの委員になり、ムスリム以外の人と顔を合わせる機会が増えて、最初は帽子とスカーフで隠していましたが、ある日、思い切ってヒジャーブを着けていった時に、私が仲間の委員に「今日は頑張って(ヒジャーブ)着けてみました」と言うと、その委員は「あら、全然いいんじゃない」と言ってくれました。自分が思っているよりも周囲の人は何も気にしていないんだと思いました。それ以降は毎回PTAで着けていくことが出来るようになりました。私の母は私がヒジャーブを着けるのを嫌って「うち(実家)に来るときは着けてこないで」と言っていましたが、私が毎回着けていくようになり、最近は諦めたようです。

 

ヒジャーブを着けることが出来るようになった今、ヒジャーブに対する嫌悪感はなくなりました。多くなってきた白髪を見せなくてもいいし、頭がぼさぼさでも布を巻いてしまえば誰にも見られません。髪の毛のセットに時間をかけなくてもいいのですごく楽です。ここで強調しておきたいのは、ヒジャーブは楽なだけでなく、女性が年齢と美によって評価されることから守ってくれていると私が感じていることです。これはヒジャーブの恩恵だと思います。

 

また、おしゃれなムスリマ達はファッションの中に上手にヒジャーブを取り入れています。巻き方も何通りもあって、みなさんそれぞれの巻き方を楽しんでいます。ちょっと視点を変えるだけでファッションの一部になり得る可能性は十分あります。

 

今、ヒジャーブを着けることに抵抗があるムスリマの方は、まずドゥアーすることから始められたらいいと思います。長そでを着たり、身体のラインが目立たない服装にしたりと、出来ることから段階的にやっていかれるといいでしょう。そして一度思い切って着けてみると、周囲の反応は予想していたほどではないことに気付くでしょう。どうかみなさんがアッラーの命令に従うことが早くできるようになりますように。アッラーのご命令に従うことは全部イバーダ(崇拝行為)として評価されますので、インシャッラー、ヒジャーブを着けている間中、常にイバーダをしていることになります。アッラーによる恩恵がみなさんにたくさん、たくさん入りますように。