ムスリム学びブログ

インドネシア人と結婚したムスリムの日々の学びの記録

親孝行の徳

(ここではインドネシアのテレビ番組、Kalam Hatiで先生がお話しされた内容に基づいて書いています。)

 

今回は親孝行についてラシード先生が番組で話した講話の内容をまとめていきます。クルアーンに子の両親に対する態度や親孝行について以下のように書かれています。

 

「われは,両親への態度を人間に指示した。人間の母親は,苦労に(窶)れてその(子)を胎内で養い,更に離乳まで2年かかる。『われとあなたの父母に感謝しなさい。われに(最後の)帰り所はあるのである」(ルクマーン章、31:14)

 

「あなたの主は命じられる。かれの外何者をも崇拝してはならない。また両親に孝行しなさい。もし両親かまたそのどちらかが,あなたと一緒にいて老齢に達しても,かれらに『ちえっ』とか荒い言葉を使わず,親切な言葉で話しなさい」(夜の旅章、17:23)

 

親を大事にすることはアッラーへの信仰心を証明する最も大きなパラメーターです。両親を大事にする人はこの世の幸福も得られます。つまり親孝行はあの世とこの世での成功の鍵と言えます。それほど親孝行はイスラムで重要視されています。それは、私達をこの世に誕生させるのに、両親が媒介として重要な役割を果たしているからです。私達がこの世に存在しているのはアッラーのご意志によるものです。両親はその仲介役として私達をこの世に送り出してくれました。ですから、両親に感謝するということは、アッラーに感謝しているしるしになります。アッラーへの信仰の証です。

 

お祈りや断食など、アッラーに対する約束が果たせなかったとしても、アッラーはその清算を死後まで先延ばしにしてくださいますが、親不孝な振る舞いについては、この世でも清算されます。ですから、この世で幸福になりたければ親を大事にしなければなりません。

 

では具体的に何をすれば良いのでしょうか。まず最低限のマナーとして、上のクルアーンの節にも書かれているように、汚い言葉を使わないことです。「ちぇっ」という一言ですら親の心を傷つけてしまいます。そのほかの親孝行としては次の3つです。

1.毎日両親と連絡をとる。両親を気遣う。

2.食べ物を持って行ったり、贈り物を贈ったりする。

3.親のためのドゥアー(アッラーへの祈願)をする。

 

番組の視聴者からの質問で「誤解から父親と口論になり、何度誤っても父親は許してくれません。私はどうすればよいでしょうか」という質問がありました。ここで先生は、クルアーンマルヤム章の41~48節を引用しました。内容を簡単に説明すると、預言者イブラーヒーム様(彼に平安あれ)は偶像を崇める父親に対して、正しい道に入るために預言者としての自分に従うように言いました。しかし、父親はアッラーの道に入ることを拒否し、イブラーヒーム様(彼に平安あれ)が自分たちの信仰を受け入れないなら、石打ちにすると言い、家から出ていくように言いました。イブラーヒーム様(彼に平安あれ)は家から出ていく前に、お父さんの平安とアッラーからのお許しを願いました。

 

「かれは言った。『あなたに平安あれ。わたしの主に、あなたのため御赦しを祈る。本当にかれは、わたしに対し慈悲深くあられます」(マルヤム章、19:47)

 

上の「かれは言った」の「かれ」はイブラーヒーム様(彼に平安あれ)のことであり、「本当にかれは」の「かれ」はアッラーのことです。このように、イブラーヒーム様(彼に平安あれ)は自分が父親から追い出されるという憂き目に遭ってもなお父親の平安を願っており、大変親孝行です。今回の質問者も、父親の心をよく気に掛けており、先生は大変親孝行であると評価しました。対処法としては、このように何度も誤っても許してくれなかったとしても、忍耐するしかないです。また、直接ではなく母親に伝えてもらうのもいいです。

 

ここまでが今回のお話の内容です。私達は親から与えられたものを全部返すことはとても出来ませんが、少しでも出来ることをやっていくことが大事だと思います。特に今はコロナのために親が孤立してしまいがちなので、億劫がらずにまめに連絡をとれるといいですね。それだけでも親にとっては嬉しいものみたいです。何といっても「親孝行はあの世とこの世の成功の鍵」ですから。アッラーが私達を忍耐強くしてくださいますように。どうか私達の両親の罪をお許しくださいますように。

 

(Kompas TV、Kalam Hati、ラシード先生の講話より)