ムスリム学びブログ

インドネシア人と結婚したムスリムの日々の学びの記録

『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』

随分とお休みしておりましたが、久しぶりに最近読んだ本について感想を書いてみたいと思います。表題の本は、今話題の「アドラー心理学」について、この本の著者で心理カウンセラーの小倉広氏が解説したものです。

 

アドラー心理学」の本としては、岸見一郎氏と古賀史健氏の「嫌われる勇気」が有名ですが、私は尊敬するベストセラー作家の樺沢紫苑先生が薦めており、自分でも書店で手に取ってみて「読みやすそう」と感じたことからこちらを選びました。実際読んでみても読みやすく、自分にしては早く読み終えることが出来ました。内容も濃く、学びが多かったと感じています。そして子育て本としても参考になることが多いのでないかと思いました。ここでは私が得た学びのうちのいくつかをご紹介します。

 

例えば、会社に行こうと電車に乗ると急激に不安が襲ってきて会社に行けない、という不安症について、アドラー心理学ではこのように述べています。

 

「不安だから外出できないのではない。外出したくないから不安を作り出しているのだ」

 

つまり、「会社に行きたくない」という目的を実現するために不安を作り出しているということです。人は先のことを考えると不安にしかならない、というのは樺沢先生の本にも書いてありますし、私もそう感じます。最近読んだホリエモンの「英語の他動力」という本にも「できない理由を考えるな。できる理由を考えろ」と書いてありました。過去を悔いてばかりいても取り戻すことはできないし、未来のことを考えると人の脳は不安なことばかり考えてしまうものらしいです。「今、ここ」にフォーカスすることが大切なのだと改めて思いました。

 

次にご紹介したい内容はこちら。

 

①他者は私を援助してくれる=他者信頼

②私は他者に貢献できる=自己信頼

③私は仲間の一員である=所属感

「この感覚(共同体感覚)がすべての困難からあなたを解放するだろう」

 

やっぱり人間は人同士のつながりなくしては幸せになることは決してできないんですね。人間関係のなかで傷つくこともあるけれど、幸せを感じるのも人間関係のなかでしか感じることはできない。傷つきたくないから人と会うのを避けて家に閉じこもっていれば、確かに傷つかずに済むけれど、孤独からは逃れられないでしょう。孤独は医学的にみても健康に悪いそうです。

 

ほんの少しでもいい。自己満足でいいから誰かを喜ばせることをしてみる。これが大事と書いてあります。自分の小さな行為が誰かの役に立ったときに幸福感を感じる。そして社会の中に自分の居場所を感じることができます。私も最近ツイッターを始めましたが、自分のちっぽけなつぶやきが誰かの役に立ってくれるといいな、と思いながら、勝手に自己満足しています。

 

樺沢先生もYou-Tubeに健康や学びに関する多くの動画を毎日配信していますが、動画の内容が誰かの役に立つことを勝手に想像して幸福感を得ているそうです。このように、私達は自己満足により「幸福の先取り」ができるのです。そもそも誰かの感謝や評価がないと貢献感を感じられないのは「相手に依存している」ことだとこの本に書かれています。

 

もうひとこと、ムスリムとして付け加えたいのは、「すべてはアッラーの満足のために行う」べきだということ。誰の評価も必要ない。感謝や見返りがなくてもいい。私達の創造者であり、誰よりも私達のことを熟知しているアッラーのお喜びのためだけに私達ムスリムは善行をします。

 

最後に私が注目したのは、人生の困難に立ち向かうために必要な「勇気」という活力です。アドラーは「自分の行為が周囲の人たちにとって役立っていると思える時だけに自分の価値を感じる」「私は自分に価値があると思える時にだけ勇気を持つことができる」という内容のことを述べています。

 

私達は周囲の人たちに対して、たとえ些細なことでも「ありがとう」と言うだけでその人にとっての勇気づけになります。これって意外に大事なことなんですね。

 

そして人を勇気づける前に、逆に自分が「勇気くじき」をしていないかどうかチェックする必要があります。相手の失敗を見てダメ出ししたり、できないからといって取り上げてしまうと、相手は深く傷つき、勇気をくじかれてしまいます。そして、大抵の場合、できていることには注目せず、できない部分にだけ注目してしまいがちです。できている部分に着目し、問題の解決法を考えることにほとんどの時間を使うと勇気づけになるとこの本に書かれています。

 

命令口調や「あなたは~すべきだ」というユー・メッセージは「勇気くじき」の言葉。お願い口調や「私は~してくれると助かります」というアイ・メッセージは「勇気づけ」の言葉になります。私も子供に対してできるだけこのように接していこうと思いました。

 

このほかにも、この本には子育てにとってよいアドバイスが実にたくさん盛り込まれています。うちの息子はもう中学生ですが、もっと早くこの本に出会えていたらよかったと思っています。私も過去に一般的な「子育て本」を買って読んだりしましたが、正直あまり参考になることがなかったです。この本の方がよっぽど参考になることが多く、子育て本としてもお薦めです。もちろん、お子さんが既に成人された方にとっても、お子さんをお持ちでない方にとっても、きっと人間らしい幸せな人生を生きるために参考になる本だと思います。ご興味のあるかたはぜひご一読くださいね。感想は以上になります。ここまでお読みくださり、本当にありがとうございました。

 

 


【新品 書籍 単行本】アルフレッド・アドラー人生に革命が起きる100の言葉 ALFRED ADLER 100 Words to Revolutionize Your Life