アッサラームアレイクム
インドネシアでは暗号資産の利用者が急増しており、2021年1月時点で7500万人と昨年の2倍近くとなっています。この流れを受けてインドネシア政府は、商品先物取引監視庁を通じて暗号資産現物市場取引の実施に関する新たな規定を設けました。
暗号資産が主流となりつつある一方、インドネシアのイスラム学者やイスラム教組織の間で、暗号資産がハラール(イスラム的に合法)なのかハラーム(イスラム的に違法)なのかについて論争が巻き起こっています。
先日、私が学ぶインドネシア語のクラスで暗号資産の話題が持ち上がりました。インドネシアは夫の祖国であり、自分もムスリムの一人として気になったので調べてみました。宗教組織によって細部の見解は多少異なるものの、基本的にはハラームであるとのことでした。なかでもインドネシア・ウラマー評議会(MUI)は政府に対して助言を行う権威ある組織ですが、今日はその組織が出した見解をまとめてみようと思います。
今回参照した記事はこちらです。
インドネシア・ウラマー評議会の発表した解釈の引用は以下のとおり。
"Penggunaan cryptocurrency sebagai mata uang hukumnya haram, karena mengandung gharar, dharar dan bertentangan dengan Undang-Undang nomor 7 tahun 2011 dan Peraturan Bank Indonesia nomor 17 tahun 2015,"
暗号資産には不確実性や害悪の要素があり、2011年インドネシア共和国法法律第7号と2015年インドネシア中央銀行総裁規定第17号に抵触するため、暗号資産の通貨としての利用はハラームである。
さらに、暗号資産には賭博の要素もあるとのことです。また、商品または資産としてのデジタル暗号通貨のうち、上の要素のほか、物質的に形があるもの、価値があるもの、明確な額と所有権がわかるもの、購入者に受け渡しができるもの、というイスラム法の条件を満たしていないものは売買に用いることはできないとしています。
一方、商品または資産としての暗号通貨のうち、物質としての条件を満たし、原資産があり、明らかな有益性が認められるものは売買に用いることができるとも言っています。
権威あるイスラム組織が暗号資産についてハラームとの見解を示しているので、今後の展開が気になるところです。しっかりと見ていきたいと思います。