アッサラームアレイクム(皆さんに平安あれ)
今日はインドネシアの新型コロナウイルスのワクチン事情について調べたことをお伝えしたいと思います。
インドネシア・ウラマー評議会(MUI)はこれまで、アストラゼネカなど豚由来の物質が使われているハラーム(イスラム的に非合法)のワクチンでも、集団免疫を確保するうえでほかに選択肢がなく、緊急を要する場合には使っても差し支えないという見解を示してきました。
ところが、この4月に最高裁判所は政府に対して、ムスリムに対する新型コロナウイルスワクチンのハラール(イスラム的に合法)性を保証するよう求めました。政府もこの決定を尊重する姿勢を示しており、今後インドネシアでムスリムが接種できるワクチンの内容が変わる可能性が出てきました。
MUIがハラールとの見解を示しているワクチンは以下の4つ。
1.シノバック(中国)
2.Zifivax TM(中国)
3.Merah Putih(インドネシア)
4.シノファーム(中国)
( )内は開発国
Merah Putihはまだ開発中とのことです。上の4つ以外のワクチンについてMUIが示している見解は以下の通り。
1.アストラゼネカ(英国)
製造過程で豚由来の物質が使われているためハラーム。しかし、緊急の必要がある場合、すぐにワクチンを接種しなければ死に至るなどの危険がある場合、十分な量のハラールのワクチンが確保できない場合、政府が安全性を保証した場合、政府に新型コロナウイルスワクチンの種類を選択する自由がない場合には緊急使用が認められています。
2.ファイザー(米国・ドイツ)とモデルナ(米国)
アストラゼネカと同じく、緊急使用が認められています。ファイザーはハラームですが、モデルナに関してはまだはっきりとした見解が出されていません。
MUIは、集団免疫を確保するために十分な量のハラールワクチンが確保できる状態であれば、ハラールではないワクチンの使用は認められないとの見解を示しています。政府は3回目の接種にシノバックを推奨しています。このような動きを受けて、国民がワクチンのハラール性を心配してこれまで緊急使用が認められてきたワクチンの接種を躊躇する可能性もあり、医療関係者からはワクチン接種の遅れを懸念する声も上がっています。
ほかのイスラム諸国ではファイザーやモデルナ、アストラゼネカなどのワクチンが使用されていて、各国の宗教指導者によれば、「不浄」とされている物質も製造過程で元の物質とは全く違う物質に完全に変わっていれば、使用しても差し支えないとのことです。
約87%のムスリムを擁するインドネシアでハラールのワクチンをどのように確保していくかが今後のコロナ対策の鍵を握っていると言えそうです。ハラール性はムスリムにとっては重要事項なので決してないがしろにできない問題ですが、政府にはバランスのとれた現実性のある対策が望まれそうです。
今回参照した記事です。
今日はインドネシアのワクチン事情についてお伝えしました。
皆さんのご参考になれば幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。